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Publication date: 19 Jan 2023

新型コロナウイルス感染症/ロシア・ウクライナ戦争の2022年9月末時点での影響を考慮した国内IT市場予測を発表

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Japan, 2023年1月19日 - IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社(所在地:東京都千代田区九段北1‐13‐5、代表取締役社長:村橋俊介、Tel代表:03-6897-3812)は、2022年9月末時点の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)およびロシア・ウクライナ戦争による影響を考慮した国内IT市場予測を発表しました。これによると国内のIT市場は、前回発行レポート『国内IT市場 産業分野別/従業員規模別/年商規模別予測、2022年~2026年(IDC #JPJ47870622、2022年5月発行)』から、2021年は0.4%改善し前年比5.2%増の19兆3,167億円の実績、2022年は0.6%改善となり前年比4.6%増の20兆2,137億円と予測しています。

2022年の国内経済活動は、COVID-19の感染拡大、円安の進行による輸入原材料価格の上昇、世界経済の減速懸念、ロシア・ウクライナ戦争などの地政学的な不確実性の高まりといった下押し圧力はあるものの、サプライチェーンにおける制約の緩和が継続することや、日本国内でのサービス消費やインバウンド需要の再開によって、緩やかに回復しています。国内IT市場は、企業システムのクラウド化やサブスクリプションモデルの浸透、リモートワーク、リモート学習の定着といった、マクロ経済の変動に対して影響を受けにくいビジネス構造に変化してきています。また、サプライチェーンやサイバーセキュリティの強化といった分野への投資の優先度は高く、IT支出に対する阻害要因は過去の経済危機と比較して影響が軽微に留まっています。

製品別では、通信インフラの増強、デジタル化を目的としたRPA(Robotic Process Automation)の活用、セキュリティツール需要、オンプレミス環境で運用してきた従来のITインフラの刷新を含むクラウド環境への移行、業務効率化、サブスクリプションビジネスの広がりに伴うソフトウェアおよびサービスの成長などがIT市場を牽引しています。

産業分野別では、すべての産業分野でプラス成長に回復するとみています。半導体不足や円安、および低価格モデルと高価格モデルの二極化といった複数の要因で価格上昇が続くスマートフォンの買い替え需要が見込まれる消費者、通信分野では通信インフラ拡充、および5G投資、各種ITソリューションの基盤となるテクノロジーを提供する情報サービスが、2022年のIT市場成長を牽引しています。

従業員規模別では、急激な円安、世界的な原油/資源価格の高騰による業績への影響が深刻となっている中堅中小規模の製造業や流通業でIT支出のマイナス成長を予測しています。一方、これらの産業分野を除いた小規模企業以上の企業では、生産性向上、非対面チャネル強化のほか、各種制度対応などを目的にしたIT支出が見込まれます。経営体力のある大企業では、今後の企業成長を図るためにデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みを加速させており、IT支出規模全体でも高い成長率を見込んでいます。

年商規模別では、急激な円安、世界的な原油/資源価格の高騰による業績への影響が年商規模を問わず多くの企業に及んでいますが、業務効率化や非対面チャネル強化、既存システムのクラウドシフトを推進するIT支出は継続しています。2022年においては、各年商規模の企業でプラス成長を予測していますが、年商規模100億円未満の企業ではプラス成長ながらほぼ横ばいを見込んでいます。

上記の予測は、COVID-19の感染再拡大の動きがあるものの、経済活動と両立する社会を目指していることから、2022年の国内経済成長率を1.5%のプラス成長となることを前提に作成しています。ただし、円安による輸入原材料価格の上昇や、ロシア・ウクライナ戦争の長期化などの地政学的な不確実性の高まりによって、経済活動がCOVID-19の感染拡大前の水準に回復するのは2023年以降になるとみており、2023年の国内IT市場は前年比5.7%増の21兆3,716億円と予測しています。また、2021年~2026年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は4.4%、2026年の国内IT市場規模は23兆9,843億円と予測していますが、COVID-19の感染の急激な再拡大やロシア・ウクライナ戦争の状況、世界的なインフレ率の上昇による大幅な景気後退、さらなる急激な為替変動など、社会環境の急激な変化によっては、今後の状況によっては予測を大きく見直す可能性があります。

IDCでは、平時から多様なエコシステムを構築し、有事に備えるためのレジリエンシー(困難な状況に陥っても迅速に回復する能力/柔軟性、変化への対応力)強化に向けたデジタル技術の活用は、今後の新たな企業成長につなげていく上で、すべての企業が身につけるべき能力と考えています。デジタル技術の活用を前提として事業を行う企業は、データを蓄積するための業務システムの構築や自社に蓄積したデータを分析、可視化、意思決定へ反映するデータドリブン経営に取り組んでいます。さらに、データ利活用が常態化した企業では、自社保有のデータだけに留まらず、第三者が収集したデータの活用や、企業/産業間を超えてデータの利活用が可能となる、連携プラットフォームへの参加が今後のスタンダードになると考えられます。IDC Japan株式会社 Verticals & Cross Technologiesのシニアマーケットアナリストである阿部 勢 は、ITサプライヤーに対して「ユーザー企業のデータドリブン経営をサポートするためには、幅広い産業でのデータ利活用を前提とした共創プラットフォームの構築を推進し、領域横断的なデータの利活用の可能性を広げていくことが重要である」と述べています。

今回の発表はIDCが発行したレポート国内 IT 市場 産業分野別/従業員規模別/年商規模別予測アップデート、 2022 年~ 2026 年 にその詳細が報告されています。本レポートでは、国内IT市場に関して、2022年~2026年の予測を製品別、産業分野別、従業員規模別、年商規模別で提供しています。

(レポートの詳細についてはIDC Japan へお問い合わせください)



<参考資料>

国内IT市場 産業分野別 支出額予測、2021年~2026年

Note: 2021年は実績値、2022年以降は予測

Source: IDC Japan, 1/2023





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